目指せ!ハイ・フェード -その3-
スクエアスイングのダウンスイングは、グリップの引き付けが完了すれば終了。あとは身体の回転に任せていれば、グリップが左耳付近に納まるフィニッシュになりました。
これは、切り返しでクラブがワンテンポ遅れることで「タメ=上半身と下半身との捩れの差」が生じるため、引き付けが終了すれば、後は捩じり戻しの動きに身を任せれば、腕を使わずとも自然とフィニッシュまで振り切れるからです。
しかし、フェードボールを打ち出すためにタメを解消すると、いくら左肩始動を厳守しても、上半身と下半身の捩れの差はかなり少なくなっているので、グリップを引き付けるだけでスイングを終了すると、フィニッシュまでしっかり振り抜けず、強いフェードボールになりません。 強いフェードボールを打ち出すには、アップライト軌道をキープし、スクエアスイングよりも高い位置でフィニッシュを迎えるために、インパクト以降に腕を使ってヘッドを加速させてやるくらいの気持ちでフィニッシュまで振り抜いていかなければなりません。
スクエアスイングでは常に体の右サイドにあったクラブが、タメの解消で、クラブはより身体の中心に近いところに移動していますから、アップライト軌道をキープしてヘッドをより高い位置へと振り抜くことで、ボールは限りなくストレートに近いフェードボールとなります。
こうやって打ち出されるフェードボールは強さもあり、高さも十分に出るので、ヨシムラはハイ・フェードと呼んでいます。
同じインーインの軌道であっても、スクエアスイングのそれと比較してアップライトになるだけで、ハイ・フェードではインースクエアーインともいうべき軌道となり、アッパーブローも解消され、スクエアなインパクトゾーンがグーンと長くなるので、ショットの精度は格段に向上します。
ボールがしっかり捕まっているので、キャリーの飛距離はスクエアスイングのドローボールと互角、ただランが少ないので総飛距離では5ヤードほど劣りますが、方向性や戦闘能力ではハイ・フェードの方がはるかに上だといえます。
というのも、ハイ・フェードは、アップライトなストレート軌道に加えてヘッドの入射角が鋭角になるため、アッパーブローが解消され、ティアップしてのショットをレベルブローに、フェアウエイウッドやアイアンなどセカンドショットをダウンブローへと変化させるからです。
この結果、1回目の解説で述べた左足下がり、つま先下がり、ディボット、目玉などの悪いライからでも、ダウンブローでボールをつぶして上手くリカバリーできるようになるのです。
そうすると、ハンデも一気に5下に突入し、クラブ競技での優勝にも手が届くようになると思います。
また、ハイ・フェードもヨシムラ流スクエアスイングも、手首のロック、左脇の締め、左サイドのリードという部分はすべて一緒。極端に言えば、違いは切り返しのタイミングとフィニッシュの高さだけですので、スクエアスイングさえしっかりマスターすれば、ハイ・フェードは短時間でマスターできるはず。
練習を重ねて両方を確実にマスターできれば、局面に応じてドロー、フェードが自在に打ち出せるようになるので、練習しだいでは、かなりハイレベルなゴルファーへと進化する可能性が出てきます。30歳台前半まで人なら、関西アマ本戦に駒を進める程度へのレベルアップは可能でしょう。
なにせ、藤田寛之、宮本勝昌、井戸木鴻喜など、ステディーなゴルフを持ち味としている一流ツアープロが、パワー・フェードではなく切れ味の鋭いハイ・フェードを持ち球として大活躍しているほどですから、その戦闘力の高さは折り紙付きです。
彼らのスイングをイメージすれば、今回の解説がより理解しやすくなると思います。
但し、ハイ・フェードとパワー・フェードとはまったくの別物なので、パワー・フェードについては、次の機会に解説したいと思います
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