「アメリカン・スクエアスイングへの道」1
ヨシムラがAMGTF(アメリカン・ゴルフ・ティーチャーズ・フェデレーション)の認定資格を得て以来、本サイトで連載していた「スイングへの道」「最強のスクエアスイング習得法」の続編を希望されるご意見が以前にも増して数多く寄せられるようになりました。
AMGTFも、ヨシムラ同様にスクエアスイング習得を目指すものですが、教本がすべて英語であることや、プレーンの考え方、スイングを作っていくプロセス等に、両者の間に若干の違いがあったことや、欧米人と日本人との体格がかなり違うことなどから「これがヨシムラ=AMGTFの最新アメリカン打法だ!」というものを確立するのに2~3ヶ月も要してしまいました。
確立した理論を実証していくため、今年1月から「ヨシムラのAMGTFレッスン」と題して個人レッスンを始め、4ヶ月が経過した今、着実に成果が上がってきたと実感するに至り、ここに新たに連載のスタートを切ろうと決心しました。
連載1回目は、レッスンに入る前に、かねてよりヨシムラ流スクエアスイングの習得に励んでおられる方々のために、ヨシムラとAMGTFの大まかな違いについての解説しようと思います。
ちょっと長くなりますが、よろしくお付き合いください。
ターゲットはハンデ15以上のゴルファー
ひと言でいうと、ヨシムラ流スクエアスイングは、限りなくストレートに近いボールを打ち出し、シャフトの性能を引き出してボールを遠くへ弾き飛ばすことを目的としたスイングでした。
これはテスターとして、クラブやシャフトの性能を評価するためには不可欠なスイングであるとともに競技志向のハイレベルなゴルファーが、コンスタントにスコアをマークするには最適なスイングだと思います。
一方AMGTFは、切実にスコアアップを望んでいるゴルファーの大半がハンデ15以上、平均スコア90前後で足踏みをしている人たちだと考え、彼らのゴルフを一層楽しいものにし、シングル入りのお手伝いをすることを目的に、スクエアなスイングをヨシムラ流よりもシンプルに考え、その習得がより合理的に行えるようなプログラムを組んでいます。
ちょっとドライバーを構えてみてください。
普通に構えてシャフトのラインをさらに延ばしていくと、へそよりも下、ベルトのバックル辺りに到達すると思います。
このラインをさらに後方、背中側に延長させたものをシャフトプレーンといいます。
しかし、シャフトプレーンでテークバックし、そのままラインに沿ってクラブを上げていくと、ほとんどの人は「フラットすぎる」と感じるはずです。
しかもクラブは、体の左側から下りてきて再び左側に振り抜けていくため、ジャストインパクトすると軌道がフラットであるほど、ギア効果によってドロー回転が強まってフックしてしまいます。
そのためヨシムラ流では、危険の大きいドローボールではなく、ストレートなボールを打ち出すには、クラブヘッドとミゾオチ上部から胸の辺りを結んだラインを延長させた位置に、クラブを立てて上げていくことが重要だとして、このラインをスクエアなプレーンと考えてきました。
手首の角度を変えずに、ノーコックでテークバックするので、スイング始動時はシャフトプレーンに沿ってクラブを上げていくものの、ヘッドが腰の辺りを通過する頃からは、スクエアプレーンの頂上を目指して、持ち上げる意識を持つ必要がありました。
また、ダウンスイングにあっては、クラブがスクエアプレーンの下側に入ることを避けるため、グリップを真下に落下させようと努めてきました。
つまり、シャフトプレーン=フラットな軌道=フックボールと認識していたので、頭の中をAMGTFのシャフトプレーン理論に切り替えるのに、少し時間がかかってしまったのです。
では何故ヨシムラが、シャフトプレーン理論を新スクエアスイングに受け入れることができたのか?
アドレスがシャフトプレーンの認識を変えた
以前の連載でも触れたように、ヨシムラ流スクエアスイングは、手首や腕、肩などの動きを制御して体全体を回転させるスイングなので、ある程度の運動センスと肉体的パワーが必要で、運動経験がある40歳代前半までの男性向きスイングであり、非力な女性や運動経験のない人は、短期間で思うような成果が上がらない傾向にあったのが第一の理由。
次に、従来のヨシムラ流では、アドレスでクラブをシャフトプレーンに乗せると、確かにトップ位置の低いフラットスイングになるのですが、AMGTFが教えるアドレスは、一般に考えられているよりもかなり浅めの前傾姿勢をとるので、アドレスからシャフトプレーンに乗せていくだけで、ヨシムラ流のトップ位置よりも少しだけ低いところにスッと納まるからです。
AMGTFの教本が英語のCDに収められているため、ヨシムラが頭と体をシンクロさせるのに時間がかかったのですが、アドレス姿勢を変えるだけで、シャフトプレーンがアップライトに変化するという考え方は、まさにシンプルかつ合理的なものであり、ヨシムラにとっては「目からウロコ」でした。
実際に多くの人に試してもらうと、ヨシムラ流のスクエアプレーンに上げていくよりは、前傾角度が浅いとはいえ、体感的には横殴り気味のシャフトプレーンに乗せていくほうがはるかにスムーズかつ容易で、結果としてインパクト再現性が高くなりました。
従来のアドレス姿勢のままのシャフトプレーンでは、フラットなスイングできついドローボールになってしまうのですが、AMGTF流のアドレス姿勢で上げていくと、方向性の良い軽いドロー回転のボールが打ち出せるのです。
シングル入りするためには、何もストレートボールを追求する必要はなく、再現性の高いシャフトプレーンに乗せて、ドローボールの精度を高めることが近道だということを、指導者として改めて再認識させられた訳です。
さて、いよいよ次回から実際のレッスンに入っていきますが、AMGTFではグリップ、アドレスなどに詳細な手順が決められていますので、特にベテランゴルファーには少しとっつきにくい面もあるかもしれませんが、正しい手順と取り決めを守り、シャフトプレーンに沿って打ち出された軽いドローボールこそが、あなたのゴルフの基本となるボールなのです。
そうすると、打ち出されたボールを見るだけで、シャフトプレーンより下から降りてクラブが寝てしまったのか、カット気味に入ってしまったのか等、これまでは自分では原因がわからず、プロや上級者という第3からしか指摘してもらえなかったミスショットの原因が自らチェックできるという訳です。
それでは、グリップ、アドレスからしっかりマスターし、ゴルフのベースを作り上げていきましょう。