Ⅰ.テークバック編
右肩甲骨を意識すればクラブは寝ない!
スクエアスイングへの最初のアプローチは、肘と手首、なかでも手首のロックです。
一度身体の正面できれいなグリップを作ってみましょう。するとどうですか?
(グリップ写真1)
もうすでに手首のコックが完成していることに気付くはずです。
この状態からアドレスに移ってもコックは解けていませんから、テークバックでは手首をロックし、余計なコックを排除する必要があるのです。
(アドレス写真2)
手首をロックしたままテークバックするのに最も簡単な方法は、右肩の甲骨周辺を後方に引く要領でスタートさせることです。
(テークバック写真3)
これが意識しにくい人は左肩を回転方向に押し込む要領でもOK。
このままできるだけ長く、真っ直ぐ後方へクラブヘッドを引くように意識して下さい。
肩を意識したテークバックでは、左腕―シャフトーヘッドが一直線になり、グリップエンドが身体の中心を指すはずです。
テークバックの始動を下半身やヘッドからと解く人も多いようですが、一般アマのほとんどは、肩以外からテークバックを開始すると、意識が下半身に向かってしまって手首のロックがおろそかになり、手首をこねた、いわゆるクラブが寝た状態のテークバックになってしまいます。
(コック写真4)
これを正しいテークバック(テークバック写真5)と比べると、グリップが身体から大きく遠ざかってしまう上に、グリップエンドが身体の正面ではなく、飛球線の方向を指してしまっているのがおわかりいただけるでしょう。(テークバック写真6)
(テークバック写真5) (テークバック写真6)
これではプレーンに沿ってクラブが上がっていくはずはありません。 右肩甲骨からのスタートは、手首のこねを抑えるのに最も簡単かつ有効なので、誰でもクラブが立った状態でテークバックできるのです。 テークバックの正しい始動をマスターするには、左手だけでグリップし、右手を広げて左手と交差させ、両手の甲を合わせるようにして構え、(テークバック写真7)そのままテークバックする方法が効果的です。(テークバック写真8)
こうすると、腕だけでクラブを上げることが難しくなるだけでなく、下半身やヘッド から始動させるよりも、肩周辺からの始動の方がずいぶんと簡単で、肩始動が最もグ リップを身体の正面にキープしやすいかが理解して頂けると思います。
(テークバック写真7) (テークバック写真8)
グリップを常に身体の正面の保て!
テークバックで、手首がローリングしていないか、クラブが立っているかなどのチェックは、グリップが腰の高さまで来た時のクラブフェースの向きで行ないましょう。
正しいテークバックでは、フェース面が地面に対してシャットになっている(テークバック写真 9)のに対して、クラブが寝た状態ではフェースと地面が垂直または開いた状態に なっているはずです。
(テークバック写真10)
(テークバック写真 9) (テークバック写真 10)
また、ここでグリップエンドが身体に向かっているかどうかもチェックします。
ヨシムラが身体とグリップの位置についてこだわるのは、プレーンに沿ってテークバックからトップに移行し、そこからスクエアなインパクトを迎えるには、グリップが常に身体の前にあることが絶対の条件だからです。
これは理屈ではなく、しっかり と身体で覚えて欲しい事柄です。
グリップ位置をチェックするために、グリップエンドが身体に着くような位置でクラブを握ってテークバックしてみましょう。(テークバック写真11)
(テークバック写真11)
グリップが腰の高さに来るまではグリップエンドが身体の正面を、そこからトップに至るまでの間は、グリップエンドは地面を指し、グリップが身体の幅の中に入っていればOKです。
(テークバック写真12)
そうすると、テークバックでは想像以上にクラブを真っ直ぐ後方に長く引いているこ とや、意外なほどアップライトにクラブを上げている感覚に陥る人も多いと思います。
でもそれが正しいプレーンなのです。身体が回転しているのですから、真っ直ぐにクラブが上がっていると感じるくらいでちょうど良いのです。
グリップが腰の高さまで上がると、あとは身体の回転だけで自然とトップが作れます。
「テークバックでプレーンを外れていても、トップが正しい位置に収まればいいじゃないか」と、思われる方もいらっしゃると思いますが、プレーンから外れクラブが寝た状態でできたトップを後方から見ると、正しいトップが両肘の位置が平行になっているのに比べ(トップ写真13)、左肘が右肘よりも上にある形(トップ写真14)になってしまう場合がほとんどです。
(トップ写真13) (トップ写真14)
こうなるとクラブが立って下りてくるという理想的なダウンスイングは望むべくもありません。
ここまで書くと、スクエアスイングでは手首のロックや肩からの始動が最優先だと思われるかも知れませんが、それは誤解です。
テークバックにおけるスクエアスイング理論の最優先課題は、クラブを立てて上げるということであり、それが結果としてオンプレーンにつながる。
そのためには、グリップが常に身体の正面にあることが条件で、そのためには、肘と手首をロックし右肩甲骨を意識してテークバックを開始するのがより効果的であるのだとご理解下さい。
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