Ⅲ.インパクト編
右足の前でボールをさばく状態を作れ!
左肩を開き、肘と手首をロックしたままの腕を真下に下ろすか、グリップを右太腿に引き付ける要領でダウンスイングに入ったら、決して腕を振らず、身体を回転させ続けることに集中します。
腕が腰の高さまで下りてきたら、グリップはむしろ右太腿あたりに固定させるくらいの気持ちで、さらに身体を回し続けると、身体の中心にしっかりとクラブの支点ができ、ダウンスイングの後半からインパクトにかけてヘッドが一気に走ってくれます。
(インパクト写真27)
こういう支点の定まったスイングができていないと、シャフトの弾きや粘りを敏感に感じることができません。
ダウンスイングで腕を使うと、どうしても利き腕(右腕)がボールに向かってしまうため、グリップがボールに近づいたり、飛球線方向に先行したりしてしまいます。(インパクト写真28)
これではグリップが身体の正面から外れて支点がずれてしまうので、いくらパワーがあってもシャフトやヘッドは走ってくれません。
腕だけが走ってしまっているのです。
(インパクト写真28)
ここで一度アドレスしてみましょう。(インパクトイメージ写真29)
この時の地面とシャフトとの角度をキープするため、グリップの位置をまったく変えずに左肩を開き、右腰がボールの上にくるまで回します。
半身の構えのように感じられるかもしれませんが、これがスクエアで理想的なインパクトの形です。(インパクトイメージ写真30)
プロや上級者が「右足の前でボールをさばく」という表現は、このインパクトのことを指しているのです。
左肩につられて身体が回転し続けていれば、腕を真下におろし、腕の先行を抑えることを意識するだけで、右足の前でボールをさばいている状態になります。
前章で述べた、振り遅れ感のあるダウンスイングでなくては、決して右足前でボールをさばくことはできないことを知ってください。
(インパクトイメージ写真29) (インパクトイメージ写真30)
スクエアインパクトの秘訣は回転の持続!
ここまで説明して、腕を振らないことが、スクエアスイングに最も重要であると理解いただけたと思いますが、切り返しから始まり、インパクトでは半身になるという左肩の開き
(インパクトイメージ写真31)については、納得しかねるという方も多いと思います。
ひと昔前までは、インパクトでは左肩を閉じ(インパクトイメージ写真32)、そこからフェースをローテーションさせる打法が主流だったため、どうしても早い段階で身体を開いていくことに抵抗があるのでしょう。
(インパクトイメージ写真31) (インパクトイメージ写真32)
実際に、左肩が開いていないと、フォローで腕の通り道がなくなるため、ローテーションを行なわないと、クラブは振り抜けません。
しかし、ヘッドが大型化して慣性モーメントも増大した最近のゴルフクラブは、ローテーションを使うと、ヘッドが正しくターンせずにプッシュやドロップの原因となります。
ヨシムラ流スクエアスイングでは、決して腕を使わず、グリップを身体の正面に固定して、身体を回し続けることによって描かれるスクエアなプレーンを目指しているため、あえてインパクトについての指導、解説は行なっていません。
クラブヘッドはダウンスイング途中から大きく加速され、インパクト付近ではアベレージヒッターでさえ1秒間に40メートル(時速140km)以上、ハードヒッターなら秒間50メートル(時速180km)以上もの猛スピードでクラブが孤を描きます。
こういう極限状況の中でスクエアなインパクトを迎えるためには、小手先のごまかしは一切通用しません。腕の動きを排除し、身体の回転を継続することだけに集中すべきなのです。
支点(グリップ)を固定して身体を回し続けるだけで、クラブは絶対に正しい円運動を行ないます。その円運動の途中にインパクトが存在するのです。
インパクトを目指した腕主導の支点がずれたでスイングでは、クラブは正しい円運動を行ないません。
円運動さえ正しく行なわれていれば、あとはクラブの遠心力がボールを遠くへ弾き飛ばしてくれます。
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