Ⅱ.ダウンスイング編
腕を真下に落とせばオンプレーンになる!
皆さんが最も重要だと考えているのがダウンスイングではありませんか?
そして、最も間違っているのもダウンスイングです。
何故ならダウンスイングを、ボールを打ちにいく動作だと考えていること自体が間違いだからです。
ボールを打つ、ボールに当てる、クラブを振る・・・ これらすべてを頭から追払わない限り正しいダウンスイングをマスターすることはできないといっても良いでしょう。
では、どうすれば正しいダウンスイングになるのか?
答えは「何もしないこと」です。
ちょっと極端に聞こえますが、「腕で何もしないこと」といえばわかりやすいでしょうか。
両肘の水平に気を付けて、トップの形をつくってみましょう。
身体を回転させずに、肘と手首のロックをキープしながら肩の力を抜き、腕をクラブの重さに任せて、トップの位置から真下にストンと落としてください。(ダウンスイング写真15,16) これがダウンスイングにおける正しい腕とクラブの動きです。つまり、何もしない。 これだけではどうも頼りないと思う人は、グリップを右太腿の付け根付近に引き付けることを意識してはどうでしょう。多少肩に力が入ってしまいますが、最初のうちはそれでもOKです。
これがいわゆるクラブが立った状態での正しいダウンスイングです。
(ダウンスイング写真15) (ダウンスイング写真16)
このままではとてもボールに当たらないとお思いでしょうが、ダウンスイングを正しく始動させると、身体がしっかりと回転してくるので、回転に合わせて腕とクラブを真下に落下させるだけできっちりとプレーンに乗ってくるのです。(ダウンスイング写真17,18)
逆にいえば、こうしないとクラブが寝てしまい、決してプレーンに乗ったダウンスイングにはならないのです。
(ダウンスイング写真17) (ダウンスイング写真18)
ダウンの切り返しは左肩からの始動がベスト!
ダウンスイングのクラブの動きについてはおわかりいただけたと思いますので、ダウンスイングの始動、つまり切り返しをどこから始めるのかに話を移します。
かつてはヒールアップした左足かかとを下ろすことからダウンを始動させろといわれたものです。
現に今もダウンの始動は下半身からというのが一般的のようですが、レッスンする立場から言わせていただくと、一般アマが下半身を意識すると上半身がスムーズに動かないという問題が生じます。
下半身を意識しつつ、トップから腕をストンと落とせる人はかなりの上級者。ヨシムラのスクエアスイングをマスターする必要の無い人たちです。
ほとんどのアマチュアは、それでなくともボールに気持ちが向かっているのに、下半身を意識するとなると、間違いなく手でクラブを振り下ろしてしまいます。
肘と手首をロックしつつ、グリップを右太腿あたりにストンと落とすことに集中してダウンスイングを始動するには、切り返しを左肩から始めるのがベストです。
トップでは飛球線とシャフトが平行です。この状態から、左肩をサッと開いてやるのです。
(切り返し写真19)
この時に注意するのは、両肩のラインを回そうと思わないこと。両肩の回転を意識するとどうしても右肩が落ちたり、突っ込んだりしやすいのです。(切り返し写真20)
あくまでも左肩を開くことに集中しましょう。
(切り返し写真19) (切り返し写真20)
腕を使うとグリップが先行してしまう!
サッと左肩を開いたら、先に述べたように、腕を真下に落としてやります。テークバックの時もそうでしたが、意識を上半身に集中させることが、手首のロックをキープするのに良い影響を与えてくれるはずです。
しかも、思い切って左肩を開くことで、左サイドに自然と壁が生まれます。
最初は、いきなり左肩を開いていくには勇気が必要でしょう。
手が身体に追い付いていかない感覚に陥るので、どうしても振り遅れのイメージが強くなって、ボールに当たる気がせず、当たってもボールが右へスッ飛びそうな気がするのです。
しかし、この振り遅れ感こそが重要で、この感覚がなくては絶対にスクエアなインパクトにならないことを知ってください。
腕でクラブを振ろうとすると、どうしてもグリップは前へ前へと行こうとして、インパクトでのグリップ位置が、アドレス時よりかなりボールに近づいてしまううえに、(インパクト写真21)打とうという意識が、グリップをヘッドより先行させてしまいます。(インパク写真22)、これでは絶対に「振り遅れ」を感じることができません。
(インパクト写真21) (インパクト写真22)
シングルになれない人のほぼ全員がこのパターンで、5以下ハンデの上級者でも、大部分はグリップが先行するインパクトになっていますから、腕主体のスイングからの脱却は非常に難しいことなのですが、スクエアスイングを学ぼうとお考えの皆さんは、「ゴルフで重要なのは腕を振ることではなく、クラブが振れることなのだ」と理解し、振り遅れ感のあるダウンスイングを習得して欲しいと思います。
そのためには、左肩から切り返し、腕を下ろすだけのダウンスイングに徹すること。
何故なら、それだけでダウンスイングが完了するからです。
というより、これでゴルフスイングそのものが終了したも同然だからです。
トップから左肩で切り返し、腕をストンと下に落とし、ロックされたグリップが腰の高さまで落ちてきた時点でスイングは終了だと考えてください。
それでは、クラブを両肩で担いで肩の回転をチェックしてみましょう。左肩を意識して回すと、簡単にヘッドとグリップを位置が入れ替わるのですが(写真23,24)、打つという意識が強いと、利き腕である右肩から回ってしまい、どうしても突っ込みやすくなり、グリップがヘッドの位置に戻ってきません。(写真25,26)
これではスクエアなインパクトにはなりません。何度も言うように、打つ、当てるという意識を捨て、左肩リードで切り返すことをマスターしていきましょう。
(写真23) (写真24)
(写真25) (写真26)
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