2003年8月6日
これまででスイングについて一通り述べてきたので、今回はちょっと変わったところからスイングにアプローチしてみようと思いますが、本題に入る前に、ヘッドスピード計について説明させてください。
各メーカーからヘッドスピード(以下、HS)計が販売されていますが、その計測個所によってHSの表示が変わってくることをご存知でしょうか?HS測定機には、一般にボールの後方5cmくらいのところにあるセンサーでインパクト直前の速度を測定するものと、インパクト直前直後の速度を測定し、ボールの初速やスピン量まで測定するものがありますが、経験上、後者の測定機は前者よりも2~3m/秒程速く表示されると感じています。試打情報や今回のスイングのコーナーでは前者の測定機で計測した値を基準にしていますので、普段後者のもので測定している人は、その値に2~3m/秒プラスしたHSを念頭にしてこのコーナーを見ていただくようお願いします。
■HSとボールの高さがポイント
一般に、HS40m/秒以下の男性は非力とされていますが、チームヨシムラのフィッティング現場やスクールから統計をとると、これに相当する人が約15%はおられます。最も一般的なのが40~42m/秒で、これが全体の60%ほど。続いて43~45が20%ほどで、これはアマとしてはマズマズのパワーヒッターの部類に入ります。そして最後に46以上ですが、これは全体の5%にしか過ぎません。さらに、それぞれのHSでドライバーのロフトに応じてきっちりボールを上げることができる人の割合は、40以下で20%、40~42で30%、43~45m/秒で50%、46m/秒以上で80%というところですから、ボールを上げられるプレーヤーというのは全体の35%に過ぎない訳です。ここでボールの高さにこだわるのは、それがスイングの完成度の目安になるからです。ある程度理にかなったスイングができていないと、ドライバーやFWでうまくボールは上がりません。ボールの上がらない人の70%は、右腕を押し込むためにインパクトでグリップが先行してヘッドが開くタイプ。残りの30%は右肩が突っ込むためにダウンブロー気味のロフトがまったく使えないインパクトになってしまっている人達です。※インサイドからカチ上げる人は、HSが遅くても結構ボールが上がりますが、その説明はここでは省略します
そして、先に述べた35%の人達は「シングル予備軍」といって良いでしょう。しかし、シングルを目指すには最低でも230ヤードの飛距離が欲しいですから、HS42m/秒以下の人は、ヨシムラ式のスクエアスイングを是非マスターして欲しいと思いますし、HS43m/秒以上の人ならヨシムラスイングで5下シングルになれると確信しています。さて貴方はどのランクのゴルファーでしょうか?
■クラブ性能を最大に引き出すヨシムラスイング
ヨシムラも若い頃はご多分に漏れず、飛距離を狙ってドローボールを追いかけていましたが、それが今のスクエアスイングに変化したのは、クラブテスターとして本格的に活動し始めた頃ですから、今から10年と少し前のことでしょうか。クラブをテストする時に、手首をローテーションさせていては、シャフトのしなりに対して鈍感になってしまうばかりか、ヘッドを正しいロフトでミートさせる確率が悪くなる上に、トウダウンなどヘッドそのものの微妙な挙動が感じにくくなってしまうからです。シャフトの弾きを感じるには、支点をしっかりと固定する必要がありますし、ヘッド性能を理解するためには、ロフト通りの正確なインパクトは最低条件です。そのためには、腕 - グリップ - シャフト - ヘッドのラインがスクエアなインパクトが必要で、それを実現させるために、スイング全体をスクエアなものにしようとして体得したのが現在のスイングで、これがクラブの性能を最大に引き出すことのできるスイングだと自負しています。
ただ、支点を固めて弾き飛ばそうというスイングですから、ツアーADのように先端を遅らせるようにしたシャフトや、普及品にあるようにコストダウンに伴って低弾性繊維を使用したシャフトは苦手ということになります。しかし、先ほどHS40m/秒以下でもシングルになれると言ったのは、このスイングによって、最近の高性能クラブの性能を引き出すことで、HS40m/秒以下でも230ヤード飛ばせる可能性があるからです。飛ばすことだけがスコアアップにつながるとは言えませんが、少なくともある程度の飛距離がないと戦えないのも事実です。そういう意味からいうと、43以上の人は250ヤードをコンスタントにマークできるようになるので、5下ハンデも夢ではなくなるという訳です。
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