2003年11月27日
■よりシンプルなスイングを求めて
これまでは、メールでの問い合わせは、クラブのフィッティングに関するものがほとんどでしたが、このコーナーを始めてからは、スイングに関する質問や問い合わせがずいぶん多くなってきて、最近ではフィッティングと肩を並べるほどの多さです。しかし、スイングといっても千差万別ですから、どうしても概論を述べるしかできないため、言葉のちょっとした不足や、言い回しの解釈の仕方などに行き違いがあるようで、ヨシムラの考えが本当に上手く伝わっているのかどうかと、いつも気を揉んでいます。
例えば、「手首をロックして右肩から始動する」と一言でいっても、その人の体型、体格、筋力、クセなどによって、スイングという以前に、身体の動かし方や力の入れ方そのものが千差万別な訳ですから、右肩から始動する時に、ヘッドを上げることを意識した方が良い人とそうでない人がいるという具合です。そこで今回は、より簡潔にスイングを理解していただくため、絶対にマスターして欲しいポイントと、それを体得するための練習方法を披露したいと思います。
■肩のラインを意識したフックグリップが有効
グリップつまり手首のロックを心掛けて、右肩甲骨付近からテークバックを始動します。右肩が意識しにくい人は、左肩を軽く押し込むことを意識しても良いでしょう。テークバックは、グリップを飛球線後方に真っ直ぐ30cmほど動かします。この時、グリップが常に体の正面からはみ出さないことを意識して下さい。そうすると、クラブが立った状態でスムーズにプレーンに乗ってきます。左手を軽いフックグリップにして、右の肘が下を向くようなアドレスをすると、手首をロックしたままのテークバックが簡単に行えます。ヨシムラが手首のロックにこだわるのは、アドレスですでに手首のコックが完了しているからです。但し、フックグリップにすると、アドレスで右肩が下がりやすくなるので要注意。アドレスの肩のラインが水平であることを常にチェックしましょう。あとはこのまま、手首の角度が変わらないように気を付けて、一気にトップまでいき、ダウンスイングの開始です。
■軽い引き付けだけでスイングは終了
ダウンで気をつけるのは「腕を下ろすな」ということ。飛球線方向とクロスした左肩甲骨を、飛球線方向に戻すような気持ちでダウンスイングをスタートさせれば、クラブが立ったままスクエアに下りてきます。あとは一気にボディターンすればOK。言葉にすると簡単ですが、これが実際にはなかなか難しい。腕を使うな、何もするなといわれても、実際には体が勝手に反応してしまうものなのです。そこで「これだけは気をつけたい」ということをご紹介しましょう。
まずは身体の前傾角度。この角度を保つことを意識してダウンスイングを開始してください。これだけで腕の動きは随分と制御されるはずです。次に、これまでの項で述べてきたように、ダウンスイングでもグリップと身体の間の距離を常に一定に保ちたいわけですが、慣性モーメントによって、クラブは外へ外へと行こうとしますから、左肩からダウンスイングをスタートさせたあとに、グリップを自分の方に軽く引き付けて見てください。それだけで、グリップは自然と右太腿の前に落ちてきます。くれぐれも忘れてならないのは、手というか腕を使うのは、この引き付けだけ。極端に言えば、スイングはこれで終了なのです。あとは、身体の回転に任せなければなりません。
■左サイドをマスターする
右手をグリップエンド側にした通常とは逆のグリップ、パターのクロスハンドグリップの要領でボールを打ちます。使用クラブは7I。ほとんどの人が空振りしてしまうはずです。このグリップだと右手は一切使えません。手首をロックしたまま、身体の正面にキープし、腕、特に右手を使わずにダウンスイングすることで、ようやく70~100ヤード真っ直ぐに飛ばせるようになります。ボールが飛ばないので、あまり面白くない練習ですが、これでドライバーを150ヤードほど飛ばせるようになる頃には、どんなスライサーも直っているはず。毎回10~15球ほど練習に採り入れて見ましょう。
■右サイドをマスターする
7Iを左右のグリップの間隔を開けたベースボールグリップで握ってボールを打ちます。こうするとクラブが立って上がっていくのが判ります。このグリップでボールをヒットするには、身体とグリップが常に正対していなければなりませんし、特に右手がダウンスイング中に身体の正面にあることが絶対条件です。左肩からダウンを始動する感覚もわかりやすく、無駄なコックもできません。クラブが立って下りてくる感覚がすぐに実感できます。飛距離は通常と変わりませんから、楽しく練習できます。これも毎回20球ほど練習してみてください。
いずれの練習でも、手首ロック、テークバック=右肩始動、ダウンスイング=左肩始動、グリップが常に身体の正面・・・という、ヨシムラ式のシンプルスイングの必要性が理解いただけると思います。腕を使えば使うほどボールに当たらず、ボールが飛ばないということを知って欲しいと思います。
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