「アメリカン・スクエアスイングへの道」12 -BELLY打法で250ヤードショットをGETだ-
前回のレッスンで、体のどこに力を入れなくても、ボールは200ヤード飛んでいくことがお分かりいただけ他と思います。
でも、飛距離が魅力のドライバーショットですから、200ヤードでは物足りませんね。
何故、アイアンではハーフショットで充分な飛距離が得られたのに、ドライバーのクォータースイングでは、満足な飛距離にならないのでしょうか?
例えば6,7Iではハーフショットをイメージした状態で、ヘッドスピード(以下HS)は34~36m/sほどになります。
これはアップライトな軌道と短くて重いアイアンの特性とが相まって、最短距離でインパクトゾーンにズドンと到達したクラブヘッドが、目標飛距離に充分なヘッドスピードを生み出すためです。
一般にシャフトは1インチ長くなるとHSは2m/s以上アップするとされていますが、アイアンよりも8インチ長い45インチドライバーなら、ブラ~ンと振るだけでHSは16m/sも上がって50m/s以上(!)にも達することになるのですが、実際はそうではなく、200ヤード飛ばしたクォータースイングでのHSは36~38m/s程度に過ぎません。
その理由は、前にも述べたようにドライバーは長くて軽いうえに、特に欧米人に比べて平均身長がかなり低い日本人の場合は、ドライバーの軌道がかなりフラットになってしまうからです。(写真参考)
アイアンのプレーン(写真左)
ドライバーのプレーン(写真中央)
アイアンとドライバーのプレーン(写真右)
身長が180cm以上あるなら、アイアンスイングでもHSを上げることが出来るでしょうが、ほとんどの人は、いくらシャフトが長くなったからといってHSは充分にあがってくれません。
しかし、飛距離を伸ばすには、HSを上げる必要があります。
どこにも力を入れずに42~43m/sにHSを引き上げることができれば、キャリーで230ヤードは飛ぶはずですから、250ヤード越えのスーパーショットも夢ではなくなるはずです。
では、どうしたらHSがUPするのか?
それは「切返し以降の体の回転速度を上げる」ことに尽きます。
全盛時のジャンボから、中嶋、伊沢らへと続いて、今話題の石川遼君に至るまで、飛ばし屋と言われるプレーヤーは素晴らしいスピードで体を回転させてビッグドライブを放ちます。
その最たるのがタイガー・ウッズといえるでしょう。
では、どうしたら回転速度があがるのか?
ゴルフ雑誌等では、切返しと同時に左足を踏み込むようにして体重移動を行ったり、(写真左)切返しと同時に左肩を目標方向に開いたりして、体を一気に回転させようという方法が紹介されていますが(写真左) そういった動きには、スウェーや左腰の浮き上がりといった悪い動きが伴いやすくなります。
しかし、アマチュアがそういうことを意識すると、腕にばかり力が入ってしまい、クラブが軌道から外れてしまうなど、結果としてスムーズな回転やスイングを妨げてしまいます。
実際、何人かのプロに「ここ一番で飛ばさなくてはいけない場面で、どうやって回転速度を上げているのか」と質問しても明確な答えは返ってきませんが、話を総合すると「腹筋の辺りに力を入れる」ということでした。
ところが実際にボールを打ちながら精査していくと、腹筋ではなく、へそよりも下の下腹部あたり、つまり臍下丹田(せいかたんでん=BELLY)と言われる箇所に力を入れているということがわかってきました。
200ヤードショットがクリアできるようになったら、切返しと同時に、下腹部周辺の筋肉を軽く固める、締めるイメージを持ってみましょう。
すると、右方向を向いていたお臍が、一瞬にして正面を向き、体全体がグッと沈み込むような感覚になって、クラブが一瞬にしてインパクトゾーンに下りてくるのが実感できると思います。
そうなると、あとは、右手の握手さえイメージするだけで、左腰の浮き上がりや、それに伴う左サイドの伸び上がりもなく、クラブが綺麗に振り抜けていきます。
下腹部を軽く締めることで正しくクラブが振り抜けるメカニズムが解明されたわけではありませんが、ヨシムラ自身も含め、何十人ものレッスン生を指導した結果、それだけで、体の回転が加速され、クラブが最短距離で下りてきて、HSが42~43m/sにまで上昇しました。
【腹部を意識しないでスイングした写真】
30分の1秒でシャフトはこれだけ動く
【下腹部を軽く締めた写真】
より大きくシャフトが動いている
どちらもインパクト直前の写真で、体の動きや腕の位置に寸分の狂いもありませんが
下腹部を意識しないでスイングした写真は39m/sだったHSが,下腹部を軽く締めてスイングした写真ではHS42m/s)に上がっています。
それぞれのスイング写真の右隣の写真は、カメラのシャッタースピードを30分の1秒で、シャッターが開いた瞬間にストロボが発光してシャフトをくっきりと写しとめており、その30分の1秒後にシャッターが閉じる瞬間のシャフトが薄く写っています。
HSを39m/sとした場合、39m×0.033秒=1.29mとなり、42m/sとした場合は同じく1.39mと、HSが3m/s上がると、ヘッドは30分の1秒の間で10cmも速く進んでいることが、シャフト部分の拡大写真でご理解いただけると思います。
下腹部=BELLYを軽く締めるだけ。その他には何もしなくても、誰でも簡単にHSを確実に3m/s上げることができるのです。
気をつけるのは、最初のうちは強く力を込めないこと。
慣れないうちは、強く力を入れることで体の回転にブレーキがかかってしまい、腕が先行したり、ヘッドが先走ってドロー系の低くて強いボールが出やすくなってしまいます。
当面は下腹部を軽く締めるというか、意識をそこに集中させる程度にとどめ、フォローまで振り抜くことを目指しましょう。
また、クラブは最短距離で一気に振り下ろされてきますので、下半身リードなどを意識して、締めるタイミングが少しでも遅れると、振り遅れてしまいます。
この下腹部=BELLY打法に慣れ、締めるタイミングと力加減をマスターすれば、一般男子のほとんどのゴルファーのHSは45m/sレベルに上がるという結果も得ています。
自信を持って練習していきましょう。
以上で、AMGTFレッスンの講義は終了です。
いかがでしたか?
納得のいくボールは打てるようになりましたか?
実を言うと、AMGTFは「ドライバーも7Iと同様に打て」と教えているのですが、スイング自体は同じでも体格に劣るために軌道がフラットになってしまう日本人が、7Iと同様のスイングをしてビッグドライブを放つのは難しいので、あえて日本では下腹部に軽く力を入れるBELLY打法を採り入れました。
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