「アメリカン・スクエアスイングへの道」8 -ハーフスイングで無駄な力の排除しよう-
AMGTFがハーフスイングのドリルを最重要視していることは7章で述べました。
ハーフスイングの反復練習によって正しいコックが身に着けば、体の回転や体重移動等を意識しなくても、クラブは必ず正しいプレーンに沿って動くようになり、驚くほど強いボールが必ず打てるようになるからです。
前章で、7番アイアンの正しいハーフスイングショットで「100ヤード前後の力強いライナー性のストレートボールが打ち出せると」書きましたが、実際にはどうでしたか?
普通の人で軽く120ヤード以上、ハードヒッターなら150ヤード近く飛んだのではないでしょうか?
その理由は、自分ではハーフスイングのつもりでも、ナチュラルなコックが入ることで、クラブと体は自然とスリークォーターショット以上の動きになっているからです。
フルショットしようとすると、例えショートアイアンであっても、どうしても飛ばしたいという意識が強くなり、せっかく正しいプレーンに上がったクラブも、トップで力みのよるブレが生じて、ダウンスイングがインサイドから入ったり、右肩が被ったりして、正しいプレーンからはずれて飛距離、方向ともに不安定になってしまうのです。
プロのアイアンショットがほとんどスリークォーター(男子プロのほとんどはここでもノーコックなのですが・・・)の位置に納まっているのは、アイアンに飛距離を求めているのではなく、アイアンに正確な距離と精密なコントロールを求めているからで、コントロールショットにフルスイングは不要だという明確な意思を持ってスイングしているのです。
今回のレッスンは、どちらかというと感覚的なものに なってしまうので、写真よりも言葉が多くなってしまいますが、ヨロシクお付き合い願います。
話を一般ゴルファーのハーフスイングに戻しましょう。
地面にセットしたシャフトをガイドラインにして、左 腕が時計の8時の位置に来るまで、自分の右側のやや遠くに立つ人と左手で握手する要領で、真っ直ぐ後方にクラブを引くと、ウエイトがしっかり右股関節にシフトされ、早い人は左腕が9時の位置に来るまでに自然なコックが開始されます。
このナチュラルコックによってクラブヘッドに遠心力が生まれ、それにつられるようにして体が自然と回転していきます。
そうすると左腕が9時の位置に来る頃には、コックが完成し、ハーフスイングのつもりでもクラブの遠心力によって、クラブも体もスリークォーターの位置まで到達してしまうのです。
逆に言うと、コックを抑えてクラブをハーフショットの位置に納めることはかなり難しいのです。
しかしほとんどの人は、ハーフスイングを意識するだけで、体や腕の無駄な力が抜け、コンパクトなトップからスムーズにクラブが下りてくるはずです。
そうすると、前章で述べた通り、ヨシムラ流のように左肩から切り返してグリップを右太ももへ引き付けるという意識を持たなくても、右グリップをシャフト2に沿わせて、飛球線方向に真っ直ぐ伸ばすことを意識するだけで、グリップが体の近くを通って、インパクト前後でクラブヘッドがストレートに走るという理想的なプレーンが描けるのです。
スイングで最も避けたいのは右肩の下がりと被りです。右肩が下がるとインサイドアウトのすくい打ち被るとカット軌道になってしまうからです。
それを避けるには、体、腕から無駄な力を抜いてクラブを落下させることです。
だからAMGTFは、ハーフスイングを重視し、ハーフスイングによって正しいリラックススイングを体得させようとしているのです。
しかし、言葉では簡単でも、腕の力を抜いてクラブを落下させるということを、理屈ではなく体で知ることは非常に困難です。
実際、今回のAMGTFレッスンでも、左グリップを握手の要領でシャフトに沿って上げるというだけで左腕に力が入ってしまう人がいますし、右グリップをシャフトに沿わせてインパクトを迎えようとすると、ほとんどの人が右腕に力を入れてしまいます。
しかし、ショートスイングでは腕に力を入れずにスイングできていたはずです。
これが、そこからほんの少しだけ腕が上がるハーフスイングになるだけで、ほとんどの人は本能的に腕力でクラブを制御しないとシャフトに沿ってのテークバックやダウンスイングができないと感じてしまうのです。
しかし、ハーフスイングで、特にダウンスイングからインパクトにかけてのゾーンを、ガイドとなるシャフトに沿わすには、腕の力を抜いてクラブを落下させることが絶対に必要です。
だからハーフスイングでは、体や腕の力を抜くことの習得に努めて欲しいと思うのです。ここでリラックスイングの方法を自ら体得しないと、ドライバーで狙った方向にビッグドライブを放つことはできません。
では、体の力を抜くにはどうすればよいのか?
あまたあるゴルフレッスン書で、最も解説が不足しているのはこの部分ですが、この部分が最も難しく最も重要だと断言できます。
つまり、スイングで最も重要なのは、体なかでも腕の力を抜くということなのです。
しかし、ドライバーは言うに及ばず、アイアンもより遠くへ飛ばしたいというのがゴルファー共通の願いである限り、その気持ちと反比例して体や腕の力を抜くということは至難の業です。
そこで次回は、その辺りのことに関してじっくりとお話したいと思います。
1・2・3・4・5・6・7・8 >> 9・10・11・12