「アメリカン・スクエアスイングへの道」5 -ショートスイングの基礎-
クラブを持たずにショートスイングの基礎を学ぼう
前章に引き続き2本のアイアンをセットしたまま、クラブを持たずにショートスイングの基礎を身につけます。ショートスイングとは、クラブが地面に対して45~60度程度、時計の針にしてだいたい8時から4時までの間を移動するアンコックなスイングのことで、ターゲットに対するスクエアなスイング基礎をマスターするドリルです。
ショートスイングを正しく身に付けるため、今回のドリルでは、クラブを持たずに、基本中の基本ともいえる腕と体の動きをマスターしていきます。
① 前章でセットしたアイアン2から、両足つま先を10cm程離して、左腕だけでアドレスします。
この時、アイアン2がテークバックのガイドライン になります。
② フックに握った左腕をアイアン2に沿わせるようにして、8時の位置まで真っ直ぐ後方にテークバックします。
この時重要なのは、単に左腕を目的の位置に引いていくのではなく、自分の右側に立っている遠くの人と握手する要領でテークバックすることです。真後ろにかなり長くテークバックするようなイメージになりますが、そうすることで、腕と体がシンクロして肩と腰が充分に回転し、右のお尻、右太もも、右ふくらはぎに張りが出て、右の股関節にウエイトが乗ってきます。
しかも、テークバックで遠くの人と握手ができれば、決して左肩が突っ込むことはありません。
反対に腕だけでアイアン2をなぞると、肩、腰が回らず、股関節にウエイトを感じることもありません。必ず遠くの人と握手する意識でテークバックしてください。
※ヨシムラ流では、体の回転とクラブのシンクロを第一に考えていたので、真後ろにヘッドを引く距離の目安は30cm程でしたが、AMGTF流では、50cm程引くような感じになるはずです。また、股関節に体重が乗るのがヨシムラ流よりも早いのも特長です。
③ 遠くの人と握手ができたら、右股関節でウエイトを受け止めたまま、左グリップをアイアン2に沿わすようにしてアドレス位置まで戻します。
そこからさらにアイアン2に沿って、今度は4時の位置までグリップを持ってきます。
フォロースルーでは、握手をイメージする必要はありません。
左手のドリルでは、右股関節にウエイトが乗る感覚を養い、グリップの形と向きを変えずに、真っ直ぐ遠くにテークバックすることをマスターしましょう。
左手に続いて右手に移ります。
フックグリップの右手をアイアン2に沿って先ほど左手で握手した位置までテークバックします。
後方にまっすぐ引いていくので、以前とは違ってグ リップが体から離れていくようになりますが、
ここではグリップの形を崩さずにテークバックすることと、二の腕が必ず上を向いていることに注意します。
④ 左手の時と同様にシャフト2に沿って、8時からインパクトそして4時のフォローへ向かって右手を振っていきます。
フォローで開いた右脇が、ダウンからインパクトに かけてギュッと締まってくるはずです。
そして、グリップが4時ないしは右腰の高さまで来た時に、今度は左側に立っている人と、スパッと握手します。
握手を意識するだけで、腰と肩は飛球線方向に簡単 に回転します。すると、右脇がしっかり締まったままで、右手が飛球線方向に真っ直ぐ放り出されているような感覚になります。
ここでも左手同様にシャフト2をなぞるだけでは、肩、腰は回りません。
必ず握手する意識を持ってください。 このドリルでは、シャフ2のラインに沿って、握手を意識して腕を振るだけで、腕と体がシンクロし、肩と腰が充分に回転したボディターンスイングが完成することをマスターしてほしいと思います。
クラブを持っていないショートスイングの状態で、より長く遠くに真っ直ぐ後方に引いて、真っ直ぐ前方に打ち出すという感覚を養っておかないと、クラブの重量で遠心力が加わった時に、インパクトからフォローにかけてヘッドを真っ直ぐに打ち出すことができません。
このドリルはクラブを持たずにできるので、練習場やコースは言うに及ばず、ご家庭の畳の縁や、オフィスの床のラインを利用して、いつでもどこでも反復練習ができます。
くれぐれも、左右の人と握手する意識を忘れず、日頃からのチェックを心がけてください。